いちご

誕生日やクリスマスなど、いろんなパーティーの場に顔を出す人気者です。そのまま食べてもおいしいですけど、よくケーキに乗っかっていますよね。

豆知識みたいなのが好きな人は、すいかが野菜だというのは聞いたことがあるかもしれません。ひょっとしたら、メロンが野菜だというのも。

でも、すいかやメロンと違って瓜でもなんでもないいちごが野菜だと聞いたら、どう思いますか?

いちご=野菜説は、何を根拠にしているの?

実は、いちごを野菜という理由ははっきりしていて、それは「木ではなくて、草の実」だからです。いってみれば、、

  • リンゴは木になるから果物
  • いちごは草になるから野菜

みたいな感じですね。

木と草の違いって、そもそも何なの?

「木じゃなくて、草?そもそも木と草の違いって、何???」こんな風に思われるかもしれません。

あなたは、それぞれの違いについて、どう思いますか?

  • 木は「大きい」、草は「小さい」?
  • 木は「硬い」、草は「柔らかい」?
  • 木は「茶色い」、草は「緑色」?
  • 木は「生長の年数が長い」、草は「短いスパンで生え変わる」?

だいたいこんな感じのイメージ、ありませんか???

でも実はこれらのイメージの違いの中に、木と草の違いのヒントが含まれているんです

植物は、生長すると大きく重くなっていく

草木は、根から水分と養分を吸い上げたり、葉でも光を養分に変えたりしながら生長していきます。水分と養分を吸収できる限り、草木は上に伸び、枝が増え、また葉も茂っていきます。

上に伸びたり
枝が増えたり
葉が茂ったり

していくということは、それだけ重くなるということ。

草木が自力で支えられる程度の重さならいいですが、中にはそのままだと茎が折れてしまうような重さにまで生長するような草木もあります。

「二次成長」で自分を支える木

そこで、茎が折れるのを避けるために木は「二次成長」をします。つまり、これまでの生長に加えて、茎の部分を自分で太くし、より丈夫な方へ日々更新していくということです。

人間も同じですよね?身長が伸びたり、筋肉がついたりと成長していくにつれて、骨も太く、密度も高くなっていきます。成長した骨で、成長した筋肉を支えるというわけです。

 

茎の部分を自分で太くする(つまり、それだけの大きさに生長する)植物は、新しい組織を茎の内部やや外側に、日々生み出し続けています。この、やや外側の新しい組織を生み出し続ける層のことを「形成層」といいます。

逆に、茎が通常のペースで生長するだけでも十分支えられるぐらいにしか大きくならない植物には、形成層はできません。

形成層の働きによって太くなった「茎」は、要するに言い換えれば「幹」です。そういう幹があるのは、これはもう「木」ですよね。

よくある「年輪」も、形成層の働き方が時季によって違うことから生まれるものです。

茎を太くする以外の方法で対応する草

一方、形成層のない、成長しても「茎」が茎のままの植物は、生長するにしてもある程度の大きさまでですし、あるいは茎で自分の重さを支えるの自体をあきらめて(?)、地面を這ったりします。

また、茎は幹に比べてそれほど丈夫ではありません。気温や季節の影響を受けやすく、枝葉だけが枯れる木よりも簡単に、茎まで含めた全体が枯れてしまいがちです。

でもタネだけ残していれば、例えば一年で枯れても翌年にはまた芽が出ます。

これが「草」です。

したがって、植物学的には「形成層があるのは木」「ないのが草」ということができます。

いちごの草木はどんな形???

ところで、これを今読んでくださっているあなたは、いちごを家で育てたり、あるいはどこかにいちご狩りに行かれたりしたことはありますか?

どちらかに当てはまる方は、いちごの木を思い出してみてください。

(ちなみにワタシは、上の段落みたいな細かいことを延々と書いてきましたが、去年いちご狩りに行った時は、延々と“いちご採って食べるマン”と化していました。1時間で、数にして70個ぐらい。調子に乗って食べすぎて、ご飯が入らなかったのがくやしかったです……。)

さてここで問題です。

いちごって、植物全体ではどんな形でしょう?

  • リンゴやミカンみたいに、大きな木の枝の先の方に実がなる
  • ブルーベリーみたいに、小さな木の所々に実がなる
  • すいかやメロンみたいに、つるみたいな茎が地上を這って、地面の近くに実がなる

さあ、どれなんでしょう?

さて、その正解は……?

ここまでの説明をふまえれば、答えはなんとなくお察しできたかもしれません。

正解は、3です。

いちごを英語で「strawberry」という理由も、諸説ありますが、有力なものとして

「地面近くに広がったいちごの草が麦わら(straw)に似ているから」

といわれています。
(ちなみに麦わらを表すstrawという言葉も、ジュースを飲む時に使う「ストロー」の語源になってます。)

いちごは横に伸びる

いちごは、地面を這うようにして生えていきます。茎が太くなって幹のようになっていくこともありませんし、自重に負けない程度に立つこともありません。

(ただし、すいかやメロンと違う点としては、地面を這うのは実際にはつるではなく、「ランナー」とよばれる茎が横方向に伸びて、地面と接したところにまた根を下ろし、そこでまた子株として生長していきます。さらにその子株が横方向にランナーを伸ばし……というのの繰り返しですね。)

そう、いちごは木というよりも草なんです。

なので、ここで思いっきり最初に戻るんですが、

いちごは草→なので野菜

ということができるわけです。

木と草の境目も、結構あやふやで……。

ちなみに、木と草の境目というのも、生物学的にはあんまりキリのいいところにはありません。たとえば、リンゴといちごは同じバラの仲間(バラ科)ですが、リンゴは木、いちごは草です。

もっと関係が近いキいちご(ラズベリー)といちごでさえ、実のなり方が違います(キいちごは上のクイズでいうと2のように、小さな木に実がなります)。

 

ってことは、いちご果物説でも間違いではない

野菜と果物は、必ずしもどっちか片方でしかないというわけでもないので、野菜であると同時に、いちごは果物でもあります。

なので、「いちごって野菜なんだよー」はトリビアとして正しいですが、「いちごって実は果物じゃなかったんだってー」っていうと間違いです。披露の際はお気をつけて!
ということになります。

結局、野菜?果物?、どっち?

ざっくりまとめると、こうなります。

  • 果物と野菜を分ける基準の一つに、
    「果物は木の一部、野菜は草の一部」というのがある
  • 木か草かでいうと、いちごは草
    (木には形成層があって、自力で茎を太くしていく。
    一方、草は形成層がなくて、茎はある程度以上太くならない)
  • よっていちごは野菜といって間違いではない
    (ただし、果物でもある)

と、いうことになります!

おまけ〜いちごのうんちく〜

ところで、私たちが食べているいちごの形を思い出してみましょう。
赤い実の上に緑色のヘタがあって、中の身はちょっと白みがかっていますよね。そして、外側には、ブツブツとタネが。

……ん?外側に、タネ???

おかしくないですか?

 

ふつうタネって実の中にあって、周りを取り囲む実の部分を、芽を出すためのエネルギーに使っているはずなのに……。なぜ、外にあるんでしょう?そもそも、どんな風に芽を出すの???あの1個1個のタネから、ブワッと出るんでしょうか???

おまけなので、早々に結論ね。結論とまいりましょう。あくまでおまけなので。

いちごの実の正体とは?

実は、いちごで私たちが実だと思ってきたあの赤い部分は、花托(かたく)や偽果(ぎか)といって「花の根元の茎の一部」、タネだと思っていたあのブツブツこそが「実」だったのです。あの中に、さらに小さな種があるんですね。

「てことは、あの1個1個のタネから、芽がブワッと出るってこと?」

あえてここでは答えは申し上げません。
いちご発芽の画像
(閲覧注意!!)