夏野菜として定番の茄子

茄子は抗酸化作用がとても強いお野菜で、とても体に良いお野菜なんですが、時々「なすを食べて具合が悪くなった」という話も耳にします。

「体に良いはずなのになんで?!」とショックですし、何より原因が気になりますよね。今後もう食べられないのか、と心配になってしまいますが、必ずしもそういうことではありません。

原因と対策を知ることで、今後もうまく茄子料理を楽しんでいけるようになるはずです!

今日は茄子を食べたときに考えられる様々な症状と、その原因と対策についてお伝えしていきます。

茄子を食べて不快症状…食べ過ぎ?アレルギー?

茄子を食べたときによく聞く不快症状は次の3つです。

  • 腹痛、下痢
  • 吐き気
  • 喉のかゆみ、ピリピリ感

食べ過ぎなのか、アレルギーなのか、はたまた食中毒なのか…原因が気になりますよね。

残念ながら、食べ過ぎの場合も、アレルギーの場合も、食中毒の場合も、いずれも似たような症状が起きる場合が多いため、原因の特定は容易ではありません。

ただし、1つずつ確認してみることで、原因の特定に近づける可能性はありますので、それぞれを詳しく見てみましょう。

なすでお腹の不調〜不快症状とその原因。下痢と腹痛〜

「なすを食べたらお腹を壊した…」という時、一番に考えられる原因は、『冷え』です。

茄子は、カリウムという栄養素を豊富に含んでいる野菜です。このカリウムは塩分を体外に放出するのに有効で、高血圧などの改善に役立ちますが、同時に強い利尿作用を伴います。

実は、尿を体外に出す時というのは、尿と一緒に体内の熱も排出されているんです。犬がお散歩途中で片足を上げて用を足した後、ぶるっと身震いするのを見たことありませんか??あれも尿と一緒に体熱を放出して、体温が下がったからなんです。

ナスを食べて冷え、お腹を下す理由

それに、熱が出て具合が悪いときにも、尿がたくさん出ますよね。

あれは上がり過ぎた熱を下げよう!と体が頑張ってくれている証拠です。具合の悪いときにこうして尿がたくさん出て、熱を下げてくれるというのはとても良いことなんですが、普通の時でも体が冷えてしまうというのは問題ですよね。

『茄子を食べたら、お腹が痛くなったり、下痢になってしまった!!』という時は、小腸や大腸といった消化器官である内臓まで冷えてしまった結果お腹に不快な症状が現れてしまっていることが多いといえます。

ナスをたくさん食べたという自覚があるときに、まず第一に疑うべきはお腹の冷えです。

『秋なすは嫁に食わすな』という有名な諺がありますが、あれは〈赤ちゃんを産む大事なお嫁さんの体が冷えてしまっては大変だから、おいしい秋なすだけどお嫁さんにはあんまり食べさせてはいけないよ〉という意味もあるそうです。

茄子でお腹を冷やさないための対策と注意

なすの食べ過ぎによるお腹の不快感対策としては、

  • 一度に大量のナスを食べ過ぎないこと
  • 茄子を食べる際に体を温める食材を組み合わせる
  • 調理法を工夫すること

が有効です。

具体的には、しょうがやネギ、唐辛子、にんにく等、体を温める具材を取り入れたり、生や漬物ではなく、煮たり焼いたりして温かく加熱調理がおすすめです。

茄子でピリピリ…口・喉の不快症状とその原因

茄子を食べて腹痛に襲われた…という話の他にもよく耳にするのが、口や喉のピリピリとしたかゆみ、イガイガ感です。

これってまさにアレルギー症状そのものですよね!!!

アレルギーには他にも目や耳のかゆみや蕁麻疹が現れることもあります。こうしたアレルギー様の症状って本当に辛いものです。

私も元々アレルギー体質で、最近原因不明の蕁麻疹が出来たりして、常に頓服のかゆみ止めを持ち歩いているので、体の底から湧いてくるようなむずがゆさ、手が届かないもどかしさ、すっごくよく分かります。

なすについてもこの『アレルギー』というものが絡んでくるんですが、とても複雑なので、順に説明していきますね。

可能性① 口腔アレルギー症候群

なすはその名の通り「ナス科」の植物なんですが、このナス科の植物というのはアレルギー症状が起こりやすい、と言われています。

なすを食べて喉や口の中がピリピリ・イガイガする原因として考えられる原因の1つ目が食物アレルギーの『口腔アレルギー症候群』です。

あまり聞いたことのない名前ですよね?!

厚生労働科学研究班による〈食物アレルギーの診療の手引き2014〉によると、食物アレルギーは症状の特徴により

  • 新生児・乳児消化管アレルギー
  • 食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
  • 即時型
  • 特殊型

の4つに分類されますが、口腔アレルギー症候群は4つ目の特殊型に当てはまるそうです。

口腔アレルギーの特徴

口腔アレルギー症候群は特定の野菜や果物を食べると口の中が痒くなったりヒリヒリ痛くなるのが特徴です。大人がかかりやすい食物アレルギーの一つと言われており、花粉症と合併しやすいのです。

今まで何もアレルギーはなかった!という人でも、花粉症になった後に口腔アレルギー症候群を発症する、というケースが増えているそうなので、注意が必要です。

茄子を食べて、唇・舌・喉・口の中・口の周りに以下のような症状が出たときは、もしかしたら口腔アレルギー症候群かも、と考えてみてください。

発症部位


口の中
口の周り
症状 かゆみ
腫れ
むくみ
ヒリヒリとした感じ
イガイガした感じ
急激な痛み

口腔アレルギーは食後5分以内に現れるのが特徴です。食べた直後、というので分かりやすいですね!!!

口腔アレルギーは口の中の粘膜に原因となる食材(アレルゲン)がふれることでアレルギー症状が起こります。

生の野菜や果物で発症が多く見られますので、なすを生で食べた時にこのような症状が見られたら、口腔アレルギー症候群の可能性がかなり高いといえます。

対策と注意が必要なケース

また、先ほども触れましたが、この口腔アレルギー症候群は花粉症との関連が報告されています。

花粉症にかかると、その花粉に接触した時に症状が起こりやすい状態となっているので、構造・成分が似た野菜や果物がふれた部分にも症状が出てしまう、というわけなんです。

 

特にスギ、シラカバ・ハンノキ・イネについて花粉症の自覚がある方は要注意です。

花粉に反応しやすい時期に症状が悪化しやすいということなので、花粉症の方は充分注意してください。

子どもの場合、花粉症を発症する前に口腔アレルギー症候群になることもあるので、気になる症状が出たら、迷わずお医者さんへ行ってくださいね。

花粉 最盛期 他に関連が報告されている野菜・果物
スギ 1〜5月 トマト(ナス科)
シラカバ
ハンノキ
3〜4月 リンゴ、西洋梨、さくらんぼ、桃、あんず、アーモンド(バラ科)キウイ(マタタビ科)マンゴー(ウルシ科)
イネ科 5〜11月 トマト(ナス科)メロン、スイカ(ウリ科)キウイ(マタタビ科)オレンジ(ミカン科)ピーナッツ(マメ科)

参考:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会<食物アレルギー診療ガイドライン2012〉

口以外への症状は?

口腔アレルギー症候群は、原因となるアレルゲンを飲み込んでしまえば、その後は胃液や消化酵素で消化されるため、口の中以外の他の臓器には症状が出ないといわれています。

目や鼻には症状がない、だけど口の中だけにかゆみやヒリヒリ感が残る、という場合には、なすによる口腔アレルギー症候群を疑いましょう。

 

のどや口のかゆみや痛みって辛いですが、他には出ない、と聞くとちょっと安心しますよね!

ただし、万が一、吐き気、蕁麻疹、胃痛、嘔吐、下痢、気管支喘息のような激しい咳き込みや気管支喘息発作など、口の周り以外に症状が見られた場合は、口腔アレルギー症候群ではなく、即時型の食物アレルギーかもしれません。

その場合は、アナフィラキシーなど重篤な症状を引き起こす可能性がありますので、特に小さな乳幼児などでは注意が必要です。

可能性② 仮性アレルゲン

なすを食べて口の中や喉がピリピリしたりする場合、食物アレルギーであるとは決めつけられません。野菜や果物には、食物アレルギーと似た症状を引き起こす『仮性アレルゲン』がふくまれていることがあるんです。

つまり茄子アレルギーではないんだけど、ナスに含まれている成分が食物アレルギーと似た症状を引き起こす可能性がある…ということなんです。ちょっとややこしいですよね。具体的に見ていきたいと思います。

仮性アレルゲンとは?

仮性アレルゲンは、食品中に含まれる化学物質によって、アレルギー反応と同様の皮膚の赤みや痒みを引き起こすといわれており、茄子にはヒスタミン、チラミン、アセチルコリンが含まれているそうです。

ヒスタミンとチラミンは生体アミン類、アセチルコリンは神経伝達物質の1つといわれており、これらはアレルギー反応を引き起こしたときにかゆみ症状などを発生させる物質です。

摂取した直後に即時型アレルギーに似た症状が見られますが、症状が軽く、比較的短時間で症状が軽減します。

 

茄子と同様にアセチルコリンを含む代表的な食品にとろろ芋がありますが、とろろ芋を食べて口のまわりが赤くなったり、かゆくなったりしたことありませんか?

これが仮性アレルゲンの分かりやすい例なんですが、こうした場合「山芋のアレルギー」ではなく、山芋に含まれる「アセチルコリン」がアレルギー様症状を引き起こしているのです。

ですから、なすを食べて口の中や周り以外に以下のような即時型アレルギーとよく似た症状が見られ、1時間以内くらいで治まることがあれば、仮性アレルゲンによる可能性が高いといえます。

こんな症状を引き起こす化学物質って怖い…と恐れてしまうと思いますが、最近の研究で『ナスに含まれるアセチルコリンは人参やピーマンの1000倍である』ということが明らかになりました。

アセチルコリンはアレルギー様の症状を引き起こしてしまう可能性のある物質でもありますが、同時に記憶の働きをつかさどる貴重な物質といわれ、今後その活用が大いに期待されています。

さらにいつの日かこうしたアレルギー様症状の発生を抑えられるところまで研究が進んでくれたら嬉しい限りですよね!!

その他の可能性と原因

なすを食べて喉がピリピリ、イガイガしたら口腔アレルギー症候群、その他の部位まで症状が出たら仮性アレルゲンが原因かもしれない、ということをお伝えしましたが、他にも考えられることがいくつかあります。

その中の1つが『ソラニン』という物質についてです。

ソラニンは有毒成分でステロイドアルカロイドの一種で、有名なのがジャガイモの芽による中毒です。「じゃがいもの芽や緑の部分には毒があるので、深く切り取らなければいけないよ」と聞いたことがある人も多いと思いますが、この毒というのがソラニンです。

ジャガイモにも含まれる毒ソラニンとは?

中毒になると赤血球の外にヘモグロビンが出てしまう溶血作用が起きたり、頻脈、頭痛、嘔吐、胃炎、下痢、食欲減退などが見られたりします。ソラニンは神経に作用する毒性を持ち、成人の中毒量は約200~400mg、小児の場合はその10%程と推定されています。

ナスの場合はジャガイモに比べてそこまで中毒の可能性が高いとは言えませんが、ナスを食べて嘔吐や下痢が見られたら、ソラニン中毒の可能性がないとも言い切れません。

こうやって見ていくと、さらにナスを食べることが不安になってしまいますよね…。

なんで毒をもっているんだ!!

と恨みたくもなりますが、この毒というのは植物が他の動物から食べられてしまわないよう、自分の身を守るために自ら生み出した苦み成分なんです。

これらは『ファイトケミカル』とも呼ばれ、抗酸化力・免疫力アップ効果などが健康維持や健康改善に役立つ、として話題になっています。毒にもなり、薬にもなる、とはまさにこのことですね。

 

昔はかなりアルカロイドを蓄積したなすが多かったようですが、最近ではどんどん品種改良も行われていますし、私たち人間も進化と共にアルカロイドを解毒する能力を高めている、とも言われていますので、過度の心配は不要ですが、体調がおかしいな、という場合は念のため医師の診断を受けることをお勧めします。

ソラニン中毒への対策と注意

ソラニンは水に溶けやすい性質を持つので、茹でる調理が良いといわれています。

蒸すのは水蒸気中にソラニンが溶けだすので避けてください。2度茹でするとさらに中毒になる可能性が下がるそうなので、気になる方はぜひ試してみてください。

また、ナスの味は損なわれてしまいますが、しっかりとあく抜きをしてから調理することも有効です。

茄子を食べた時の不快症状への対策と注意方法

ここまで茄子を食べた時に起きる様々な症状と原因を共に見てきました。茄子を食べて具合が悪くなると心配になりますよね。

毒と薬は表裏一体ともいいます。ナスも同様に、強い抗酸化作用を持つ優れたお野菜なので、ぜひ次のような工夫をしながら、上手に付き合っていただけたら、と思います。

ここまでで

  • 生で食べると症状が出やすいため、加熱調理を心掛ける。
  • ソラニン中毒対策としては蒸すのではなく、茹でる!2度茹でするとさらに良い。
  • 一度に茄子をたくさん食べ過ぎない。
  • 体を温める食材と組み合わせる。
  • しっかりとあく抜きなどの下処理をする。

ということをお伝えしてきましたが、他にもいくつか対策と注意があります。

ナスを食べる上での対策と注意の確認

まず第1に、ちょっと食べてみて、いつも以上に苦みを強く感じたら、すぐに食べるのをやめるということです。

不快症状が現れる時には、ナス個々の質も大きく影響します。たまたまその茄子はアクが強かった、ということもあるかもしれません。

また同時に自分の体調次第で普段は大丈夫なのに今回に限って不快症状が出てしまった、ということもあり得ます。いつもと違うな、と感じる自分の勘を大切にして下さい。

 

2つ目に、茄子を食べるときは同じナス科の食品との組み合わせが過度にならないように注意するということです。

これはアレルギー症状を起こすリスクを減らし、症状を重篤化させないための工夫です。

ナス科の野菜にはジャガイモ、トマト、トウガラシ、パプリカ、ピーマン等がありますので、「もしかしていつも茄子を食べると調子悪いかも」と疑われる場合には、調理する組み合わせにも少し気を付けてみてください。

まとめ

  • なすを食べると体が冷えて腹痛や下痢になることがある。
  • 口の中や周りに症状が出たら口腔アレルギー症候群の可能性あり。
  • 全身にアレルギー様の症状が出たら仮性アレルゲンによるもの。
  • ソラニン中毒でも下痢や腹痛を引き起こすことがある。
  • 調理法や選び方を工夫すれば、症状の改善につながる。

茄子を食べて生じる喉のピリピリや下痢などは、とっても辛いものですが、一過性のものが多く、そこまで心配することはないといえます。

しかし、症状が重い、長引く場合や小さいお子さんの場合などは迷わずすぐに受診をしてくださいね。