玉ねぎは料理の万能選手!

煮てよし、焼いてよし、炒めてよし、生でもよし、それぞれに違った良さがあります。おまけに、抗酸化作用もあって、血液をサラサラにしてくれるともいいますし……。

これを書いているワタシは、玉ねぎが大好きです。アイラブタマネギ!

でも、そんな玉ねぎでも、いざ片手に持ってまな板の前に立つと、ユウウツになります。

  • 玉ねぎ、切ると目が痛くなって、涙が出てくる……。
  • 包丁持ってて危ないのに、視界がぼやける……。
  • 切らないと料理が進まないけど、あせって切ったらケガをしそうで、怖い……。

そう、ワタシは玉ねぎを切るのが苦手でもあるんです。アイヘイトタマネギ。

今回は、そんなユウウツな玉ねぎ切りをグッと楽にする方法を、一緒に探っていきたいと思います!

(玉ねぎで出る)涙くんさよなら

昔の中国のえらい人は、こんなことを言いました。
敵を知り己を知れば、百戦危うからず
キャー!カッコイイ!

何が言いたいかというと、
「相手のことをよく知り、自分たちの特徴をきちんと把握すれば、何度戦っても危ないことはない」
ということです。

これを玉ねぎにおきかえてみると、
玉ねぎのことをよく知り、自分の体が反応するメカニズムをきちんと把握すれば、何度玉ねぎを切ってもケガをすることはない
ということになります。

それなら、まずは玉ねぎのことから調べていきましょう!

玉ねぎを切ると涙が出る理由と、さらにその原因をグッと深掘り

玉ねぎをミクロで見てみると、細胞ひとつひとつに「アリイン」という化学物質と、「アリイナーゼ」という酵素が入っています。

酵素ってちょっとわかりにくいかもしれませんが、化学物質を分解する小さい生き物のようなものです(ワタシたちがご飯を食べる時も、酵素の力を借りて食べ物の中の物質を分解し、糖などにして吸収しています)。

玉ねぎを包丁で切った瞬間、何が起こってるの???

普段はアリインとアリイナーゼは細胞の中に別々にあるのですが、

包丁で切ることによって細胞が切れたりつぶれたりし、その時にアリイナーゼはアリインに触れて、化学反応を起こしてアリインを分解します。

分解されたアリインは、「アリシン」という物質になります。これは、玉ねぎの香りや風味のもとになっている物質で、抗酸化作用やビタミンの吸収を助ける作用などがあり、健康面からも注目されています。

同時に、アリイナーゼと一緒に入っている「催涙因子合成酵素(LFS)」という酵素が、アリインの中からワタシたちを泣かせる成分(催涙因子。LFといいます)を合成し、ふわ〜っとたちのぼらせるわけです。

(この時、LFSは「泣かせる成分」そのものじゃなくて、「泣かせる成分を作る成分」です。)

最近発見された玉ねぎ成分LFSの新事実と、その意味

以前は、アリイナーゼそのものが、アリインをアリシンと催涙成分に分解し、そのために私たちは玉ねぎを切るたびに催涙成分にやられて泣くものだと思われていましたが、2002年に日本の食品会社の方たちがLFSを発見しました。

これまでの考え方と違って、アリインが分解される時に、アリイナーゼはアリシンをLFSは催涙成分を産み出すということですね。

 

これを読んだアナタ。

ひょっとしたら、「どう違うの???」と思われたかもしれません。
あるいは、「大して変わんなくね???」みたいな。

いやいやいや。
小さい違いのようですが!そこに、ワタシたちの希望のタネがあるのです!!!

LFSの研究がすすめば?

もし。

新しく発見されたように、アリイナーゼはあくまでアリインをアリシンという風味成分に変えるもので、催涙成分は別のもの(LFS)によって産み出されていたんだとしたら。

LFSが入っていない玉ねぎを作れば、玉ねぎの風味はそのままですが、目が痛くならないということなんです!

 

(玉ねぎと同じようにアリインが含まれているニンニクやネギも同じような感じで、これらにアリイナーゼは含まれていますがLFSが含まれていないので、切っても涙が出てこないのです。)

とはいえ今のところは、LFSが入っていない玉ねぎを作るためには遺伝子を組み替えなければいけないので、今の日本の法律では作ることができません。

でも、品種改良を進めていけば開発のめどは立つのだそうです。待ち遠しいですね!

催涙成分に対するワタシたちの身体の仕組み

さて、次に、ワタシたちの体の仕組みを見ていきましょう。

ワタシたちの体は表皮(いわゆる「皮」)に覆われていますが、鼻の中などの体の内側や、それらが表に出た部分などは、表皮の代わりに粘り気のある水分の膜に覆われています。

この膜のことを、ワタシたちは普通「粘膜」と呼びます(特に目の外側のものを、結膜といいます)。

 

たとえば玉ねぎの催涙成分のように、なんらかの物質が漂って粘膜や結膜に触れると、粘膜や結膜は一度、キャッチした物質を取り込みます(言い方を変えると、物質が粘膜に「しみます」)。

そしてそれがあまりに神経を刺激して「やっぱ無理!」ってなると、涙や鼻水などを使って洗い流そうとします。なので、涙とか鼻水がドワーと出るわけです。ドワー。

ワタシたちの目が痛くて「やっぱ無理!」ってなるのはこの成分が原因だから、自然とその原因物質を自分の体から洗い流そうとしてるわけです。それで、涙も出るということなんですね。

「原因はわかった。じゃあ、対策は?出ない方法を知りたいんです!」

さあ、問題は何なんでしょうか?

涙が出るということ?いえいえ、そもそもその理由として、目が痛いということです。

その時に、考えられるアプローチは何種類かあります。

  1. 切っても催涙成分が出ないようにする
  2. 催涙成分が出ても、それが粘膜や結膜に触れないようにする
  3. 催涙成分が粘膜や結膜に触れても、反応しないようにする

1.として考えられるのは、催涙因子合成酵素(LFS)の働きを鈍らせるということです。

1・催涙成分が出ないようにする方法

これは実はそれほど難しくありません。

酵素にはそれぞれ、活動しやすい温度とそうでない温度があります。あくまで常温の範囲の中ではですが、温度を下げるほどLFSの働きは鈍ります。なので、玉ねぎを冷やしてしまえば、催涙成分自体の量が少なくなるといえます。

(ただし、玉ねぎを凍らせてしまうと、中の水分が凍る時に膨張して、細胞を破裂させてしまいます。確かに冷たいので涙は出ないと思いますが、美味しくなくなるので凍らせるのはおすすめしません。)

逆に、常温の範囲を超えてもいいなら、電子レンジで温めてLFSが働かないようにしてから切ってもOKです!

なので、

「1. 玉ねぎを冷やしてから切る(あるいは熱くしてから切る)」

は有効だといえるでしょう。

玉ねぎと包丁の関係

次に、玉ねぎを切る時の包丁についてです。

包丁で玉ねぎを切る時に、切れたりつぶれたりした細胞でアリインとアリナーゼの反応が起こる(=そこからLFSも出るし、催涙成分も出る)というお話を、さっき書きました。

包丁の切れ味が悪いと、材料を切る時に力を入れなければならず、(極端にいうと)材料を引きちぎるような感じになって、また周りにも力がかかるため、広い範囲で細胞がつぶれてしまいます。

より広い範囲で細胞がつぶれるということは、より多くのLFSが出るということです。こ、これはうれしくない。

逆に、よく切れる包丁を使って切れば、力もそれほど加えなくていいから、つぶれる細胞も少なくなり、結果として出てくるLFSも抑えられます。これはうれしいですね。

なので、こうもいえるでしょう。

「1. よく切れる包丁を使う」

 

次に、2にいってみましょう。

催眠成分を目に触れさせない方法

催涙成分が、目や鼻にできるだけ触れないようにするやり方ですね。
これは簡単です。

「2. 水泳用のゴーグルをして、両鼻にティッシュを詰めて、切る」

呼吸は口でします。
確かに目は痛くありませんが……。

一人の時にした方がよさそうです。別の意味で痛い。

ちなみに、さらに残念なパターンとしては、面倒くさがって細くしたティッシュの両端を左右の鼻の穴に詰めるというのがあります。まるで、牛。

個人的な話で恐縮ですが、ワタシはいつもこのスタイルです。ものぐさなので。

それがどうしてもみっともないという(おそらく多くの)方には、こんな方法があります。

「2. フードプロセッサーを使う」

楽ですが、それでも油断すると時々きます。移し替えてる時とか。でもまあこれが一番スマートですかね……。フードプロセッサー、持ってないといけませんが……。

なんか2はふざけてんのかって感じの内容でしたね(フードプロセッサーとか、現実的だとは思いますが)。
すみません、真面目なことを書き続けたので反動が……。

3.は、ちょっと……。科学的対策!?

続いては、3.。

催涙成分が入ってきても、身体の方が反応しなければいいってやり方ですね。これは、花粉に困ってる人が薬で症状を抑える時と似たような考え方ですが。

とはいえ、特定の刺激に対する反応をオフにしてしまうのは、(結構体に大きな影響を与えるので)薬でも使わない限り難しそうです。

そういう薬は今のところなさそうなので(玉ねぎで泣いてしまうのは病気ではないですし)、これはあまり考えない方が良さそうです(スミマセン)。

でも、私が気づいていないだけで、ひょっとしたら何かいい方法があるのかもしれませんね!

結局、玉ねぎの涙対策はどうする?

玉ねぎを切った時に涙が出るのは、玉ねぎが切れる時に催涙成分ができ、それが目や鼻の粘膜を刺激して目が痛くなるのが原因。

なので、涙が出ない方法としては、

  • 玉ねぎは凍らせない程度に冷たくする
  • もしくは熱くする
  • よく切れる包丁を使って切る
  • 目と鼻をできるだけガードする
  • フードプロセッサーを使う

などが考えられます!

 

そして、いずれは涙が出ない玉ねぎができるかも(理論的には可能)!

というのも覚えておきたいですね。今後の希望のために。ホント頼みます!偉い科学者の人!